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私がご相談者のお話を聴く時に、気をつけていること!!
2018.11.07
皆さんは、傾聴という言葉をご存知ですか?
現代は、情報が入手しやすいので、何となく聞いたことはあるなあ、という方も多いかと思います。
しかし、ご存知ない方も多々いらっしゃると思いますので、ご説明いたしますね。
傾聴には、非言語による心理技法(かかわり行動)と、言語による心理技法(かかわり技法)があります。
まずかかわり行動とは、最も基本的な心理技法(以下、技法といいます。)の一つです。このかかわり行動は、私たち心理カウンセラー(以下、カウンセラーといいます。)がご相談者の前で、どのような態度でお話を聴いていったらよいかを原点とした技法で、次の4つがあります。
1 視線をあわせること。
2 身体言語(身ぶりや顔の表情など)に、気をつけること。
3 声の調子に気をつけること。
4 言語的追跡。(ご相談者のお話の内容に注意を集中すること。)
カウンセラーの上記4つの態度により、ご相談者が安心感を得られた時、ご相談者には初めて、自分の内的世界をカウンセラーと共有してもよい、という心の準備が整います。
次にかかわり技法についてご説明します。
かかわり行動により、ご相談者の心の準備が整った後は、ご相談者の内的世界を共有するための、言葉によるアプローチが必要となります。これをかかわり技法といい、次の6つがあります。
1 沈黙
2 あいづち
3 繰り返し
4 ドアオープナーの言葉
5 要約
6 気持ちをくむ
それでは、それぞれについて簡単に説明しますね。
1 沈黙
カウンセラーは、ご相談者が沈黙してしまうと、その静けさに耐えられず、余計な言動を取り、いわば悪あがきをすることがあります。
一方、ご相談者の内的対話(自己との対話)に寄り添い、静寂の中にいることも、ご相談者にとって時には必要です。そして、カウンセラーの沈黙は、すべからくご相談者の内的対話を促進する必要性があります。
つまり、ご相談者の沈黙を生かすも殺すも、ご相談者の非言語的側面に、どれほど付き合い、耳や心を傾けるかといった、カウンセラーの技量が大きく影響します。
2 あいづち
ご相談者は、目の前のカウンセラーと対話をしています。その時に、カウンセラーがご相談者の発する言葉に「ええ」とか「なるほど」とか「そうですか」などの「あいづち」をすることで、ご相談者は安心して内的対話を促進していくことができます。
3 繰り返し
ご相談者のお話した内容を、カウンセラーがそのままの言葉で、ご相談者に伝え返すことです。ただし、ご相談者の話の内容から、最も重要なエッセンスだけを伝え返します。これにより、ご相談者は自己洞察を深めていきます。この洞察とは、自己の盲点に気づくことであり、気づくことでご相談者の行動変容が、起こりやすくなります。
では、ご相談者は何に気づけば良いのでしょうか?
技法としての「繰り返し」は、ご相談者の行動の原点となっている、思考や情動、つまり考え方や感じ方(気分・感情)を伝え返すことをいいます。
4 ドアオープナーの言葉
ご相談者は、自分自身が起こしている行動の原点となっている、考え方や感じ方に気づくことで、盲点が減り、思考・感情・行動が1つのまとまりとして、統合され、健常な状態に回帰していきます。
そこでカウンセラーは、ご相談者自身のこの統合の妨げとなっている、考え方や感じ方を、ご相談者がより深く自己洞察できるように、考え方や感じ方に焦点を当てた言葉がけをしていきます。その言葉を「ドアオープナーの言葉」といいます。
5 要約
ご相談者自身が、言いたいことはあっても、しっくりする言葉を見つけることが出来ない時や、回りくどい表現をするような時は、カウンセラーがまとまりのある言葉で伝えていきます。
つまりカウンセラーが、ご相談者が最も伝えたいと感じているところを、ご相談者の表現の中から感じ取り、正確に伝え返していくことです。
この「要約」で重要なのは、ご相談者の言葉をカウンセラーが知的に解釈したり、自分の考え方や感じ方を混合させて伝えるのではなく、ご相談者自身が伝えたい考え方や感じ方の意味を、変えることなく伝え返すことです。
6 気持ちをくむ
この技法は、ご相談者がカウンセリング中に感じたり、表明している感情を、評価や偏見を加えることなくそのまま受け取り、伝え返していくことを言います。ご相談者が自らの内的世界の洞察に取り組む際には、それを映し出す鏡(カウンセラー)が必要となります。鏡がありのままの姿を映し出すように、カウンセラーに重要なのは、ご相談者の感情をありのまま(鏡のように)伝え返すことです。
カウンセリングでは、カウンセラーがこれら傾聴の6つの技法を正確に使うことにより、ご相談者は心の防衛を緩和し、カウンセラーへの信頼感や好感を持ちます。
カウンセリングがご相談者にとって、効果的な結果になるかどうかの明暗は、カウンセラーとご相談者の「ラポール(信頼関係)」が重要な鍵となりますし、私が最も大切にしていることです。
またこのラポールがしっかりと築かれると、信頼できるカウンセラーに対し、ご相談者は「もっと分かってもらいたい!」「この人なら分かってくれるはずだ!」と大きな期待感を持つようになります。
以上が、傾聴の基本に関する説明です。
この傾聴を私は、カウンセリングの命だと思っています。
ところで、私はときどき「これまで、病院をはじめ、色んなカウンセリングを受けたけど、話を聞くだけで、全然悩みが解消されなかった。」と言われることがあります。
確かに、カウンセリングには「傾聴のカウンセリング」と「問題解決のカウンセリング」という側面があって、この両方をしていかないと、お悩みの解消には時間がかかります。
そして、傾聴のカウンセリングだけでも、全部で実は3段階のレベルがありますので、傾聴のカウンセリングでは、この3段階のレベルを使い分けることが大切です。
逆に言うと、「お話を聞くだけで、悩みが解消されない。」と言うのは、「問題解決のカウンセリング」をしていないか、「傾聴のカウンセリングの使い分け」をしていないことが原因です。
カウンセラーを探す際の、参考にしてみてください。^^
それでは、今申し上げました傾聴の3段階のレベルについて、ご説明しますね。
先ず最初のレベル1の段階は、内的傾聴と言って、頭の中に雑念がある状態で、ご相談者のお話を聴くことです。
例えば、頭の中で「早くご相談者の話が終わらないかな。」
とか
「ちょっと、話が長いな。」
あるいは
「なんか、お腹すいたな。」
という考えが浮かぶように、集中せずに、ご相談者のお話を、
聴いているようで、聴いていない状態のことを言います。
次のレベル2の段階は、集中的傾聴と言い、全神経を集中してご相談者のお話を聴いている状態のことです。
例えば、私はいつも
「ご相談者の挙動や、一言一句を見失わずに話を聴くぞ!」
と言う態度でお話を聴きます。
ご相談者が、たとえ「はい、そうです。」と言われても、手が震えていたり、表情が暗かったりしたら、
「それは、本当なんですか?」
と言う質問をすることもあります。
人間は、言っていることと、本当に思っていることが、ズレていることが多々あります。
しかも、ご相談者がそのことに無自覚である時、そこに気づいて指摘してあげることは、大切だと思います。
つまり、私が重視していることは、
単にご相談者の話そのものを聴くだけでなく、ご相談者の挙動とか動作とか、手足の動きとか、表情をきっちり見て、全体で判断することなんです。
最後にレベル3の段階ですが、これは全方位的傾聴と言って、カウンセリングの開業当初は、今現在と違って、なかなかこの傾聴に苦労したものです。(^-^;
これはお話を聴く時に、ご相談者の雰囲気とか息づかいとか、空気感とかに対して、直感力を駆使しながら傾聴するというものです。
例えば、ご相談者の身体全体からあふれているものや、全体的な流れとかも含めて、
「あれ? なんか、ご相談者の今の発言は、違和感があるなあ。」
みたいなことを、感じ取ったりします。
そうして、手足の動きや表情だけでなく、何となく
「こんな感じがする。」
とか、何となく
「こう言う風に思ってないかな。」
て言うようなことを自分の感覚を信じて、ご相談者に
「もしかしたら、私の勘違いかもしれないですが」
と言う前置きをしてから、聞いたりします。
つまり、全方位に集中して聴いた結果気づいたことなので、
「何となく今言っていて、違和感はありませんか?」
とか
「何となくもう少し他に思っていることがあると思いますけど、いかがですか?」
と言うように、断定はしないが何となく感じたことを、ご相談者に伝えてみます。
その際に私が気をつけていることは、必ず
「私が思ったことなんですけど」
とか
「間違ってたら、ごめんなさい」
と前置きしてから、聞いてみるんです。
そうすれば、万が一本当に間違っていたとしても、それ程ご相談者を傷つけることがないと思うからです。
長くなりましたが、以上のように私は単に、
お話を聴くだけではなく、文にすると、なかなか伝わりにくいかもしれませんが、直感的なものも使って、ご相談者のお話を聴いていくように、心がけています。
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